日々の暮らしの中で、ときどき心にそっと触れるような本との出会いがあります。 今回もそんな「静かな気づき」を運んでくれた一冊。
半年に一度、必ず会いに来てくださる大切な方がいます。 その方はいつも、私のために絵本を選んで贈ってくださるのです。
今回いただいたのが、深海を舞台にした絵本 『クジラがしんだら』 でした。
読み終えたあと、胸の奥がじんわりと温かくなるような、 静かな余韻と、深く考えさせられる問いかけが残りました。
今日はそのお話を、ご紹介します。
終わりは、壮大な物語のプロローグ。
物語は、年老いたクジラが、
光も届かない深い海の底へすぅっと沈んでいく場面から始まります。
太陽の光が届かない暗黒の深海は、食べ物も極端に少ない過酷な世界です。
そこへ降りてきた大きなクジラのからだは、
深海に生きるものたちにとって、文字通り「恵みの雨」となります。
サメが食べ、アナゴが続き、
タカアシガニやダイオウグソクムシたちが最後のかすまできれいにきれいに平らげていく。
さらに驚くのは、肉がすっかりなくなった後の「骨」さえもが、
ホネクイハナムシという小さな生き物の住処となり、命を繋ぐ糧となることです。
そこにある「死」は、決して悲しいおしまいではなく、
深海の生態系を回すために、なくてはならない大切な一コマでした。
この絵本がそっと教えてくれること。
この絵本には、深海の生き物たちの営みだけでなく、
読む人の心にやさしく触れる“気づき”が静かにちりばまられています。
● 命は終わりではなく、めぐり続けること
クジラの体は、最後のひとかけらまで誰かの命を支えます。
その姿は、
「死=終わり」ではなく、「次の命へつながるはじまり」
という視点をふっと思い出させてくれます。
● 自然の中で、すべてが役割を持って生きていること
深海の生き物たちは、誰も無駄ではなく、
それぞれが命の循環の一部として役割を果たしています。
読む人は自然と、
「自分もまた、この大きな循環の一部なんだ」
と感じられるようになります。
● “いただく”ことへの感謝が自然と芽生えること
私たち人間は、自然からたくさんのものを受け取って生きています。
その当たり前を、ふっと思い出させてくれます。
● 自分が誰かへ渡せる“心のバトン”に気づくこと
人間はクジラのように体を自然に還すことはできないですよね。
でも、
思いやり
感謝
優しさ
こうした“目に見えないもの”なら、誰かへ渡していけます。
この絵本は、
「自分にもできる循環がある」
という優しい気づきを私たちに与えてくれています。
めぐりゆくものへの「ありがとう。」
絵本のラストで、クジラの骨に宿った小さな命が海流に乗って旅立つシーン。
それは、形を変えながら続いていく命への静かな祝福のようでした。
「自分もまた、この大きな循環の一部として生きている」
そう思うだけで、世界の見え方が少し変わる気がしますね。
今回紹介した絵本(PR)
深海の命のめぐりを描いた、美しく静かな絵本です。
大人の心の大切な部分にそっと触れるとってもおすすめの一冊でした。

